橋渡し……からの。
2人が再度、診察室に入る
「えっとですね、肺のレントゲンはまぁ、現状維持で変わらずですが、さっきお腹も痛むと言っていたし
1回全身を調べるといいですよ。
隣に○○病院があって、そこはMRIなども、ここより専門的だし。
必要なら紹介状もかきますんで。では。」
……脳の検査……という1番伝えて欲しかった ワードは1つも出なかった。
でも、橋渡しはしてもらえた。
あとは私がなんとかしなければ。
先生に頭を下げ診察室を後にする
父は先生に深く頭を下げていた。
私はすぐさま母に
「良かったね!!○○病院てなかなか予約とれないのに、先生予約してくれるって! お腹は別の病院に行くけど、○○病院は脳の検査も してくれるんだって。来月80歳のお誕生日だし この際、心配なとこは全部見てもらおうね!」
明るく 笑顔で 楽しい話をするトーンで話すと
「あら!そうなの。じゃ、よかった!」
え?わかってるかな……
「○○病院で26日に脳の検査をするからね!」
ここは認知機能がおちてるとこをうまく使いながら
先生は一言もいわなかったワードを繰り返す
「26日に」
「脳の検査」
母はなんの疑問も抱かず
「お父さんもやった方がいいわよ! 予約したらいいわよ!」
「お父さんはこの大学病院では見てもらってないから、
予約して貰えないのよ。 お母さんはかかりつけ医がここだから予約できたの!ラッキーだよね!」
「そうなんだ!良かったわ~」
とりあえずクリアだろう……
こめかみがズキズキし
ノドがくっつきそうな程、カラカラだった……
次は26日だ。
そこでは「物忘れ外来」にいく。
いよいよだ。
ここに辿り着くまでが長かった……
父からLINEで
「今日はありがとう。大変な心配をかけたね。ごめんね。次が大変だね」
父から何度目の「ごめんね」だろうか。
父が悪いんじゃない。
私は私の責務をしっかり果たそう。
「大変」と思いたくない。
樹木希林さんが何かで言ってた言葉が大好きだ。
「人生はどんなときも面白がる」
この状況は確かに「面白い」わけじゃない
けど、思考は現実化する
悲観したって仕方ない
用意周到にして いくつかのハプニング対処法だけ用意したら あとはなるようになるのだ。
マンガでわかる!認知症の人が見ている世界 (健康実用) [ 川畑智 ]
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