50代女の楽張る介護ブログ

アルツハイマー型認知症と診断された母の介護記録でこざいます〰️

忘れたっていい

翌日はとても寒かった。 


前日までの暖かさが嘘のようだ。 


とりあえずヒートテックの上下だけでも 買っていこう。 


実家に着くと母が嬉しそうに出迎えてくれた。


 ……が。 


薄着なのよ😭 


元来慎重派の母は風邪をひかないよう とにかく着込んで万全にしていた。


 それが薄手のセーターの下にタンクトップだ。 


私ですら、長袖のヒートテックを着てたというのに。


 「これ買ってきたからきてねっ」


 「なにこれ。子供じゃないんだから別に大丈夫なのよ」 


「取り繕い」


 認知症の症状のひとつだ。 


分かってはいても 風邪ひくのよ…… 


頼むから着てくれ😭 


心の叫びが顔に出ぬよう 穏やかに話す。


 これは手強い…… 


いやいや これはマジで大変なやつだ。 


妄想もかなりあった。 


こういうの本当にあるんだ…… 


ありえないことをいう。 


「そんな事ないよ」というと 


「何も分かってない」とかえってくる。


 怒りっぽくもなっている。 


とにかく本来の母の姿の対極と向き合ってる感じ。 


でも本人にも自覚があり 


「最近、わすれちゃうのよ……なんかすごい忘れちゃうの。いやになるわ……」


 母が悲しそうにそういった時 


父が見たこともない優しい顔で 


「忘れたっていいじゃない。 忘れていいんだよ。だから生きていけるんだよ」 


涙をこらえすぎて、喉だけがしゃくりあげてしまいそうだった。


 微笑み合う父と母を見て 


がんばろっ ...なんかそう思えた。